わが国でHIV訴訟が起こったとき、血友病患者さんに使用されている血液製剤の安全性が厳しく追及されました。もしエイズウイルス(HIV)に汚染された血液製剤の代わりに、当時すでに安全性が確かめられていたクリオ製剤(クリオプレシピテート)が使われていたら、あのような悲惨な結果を招かなかったのに……誰しもが思う気持ちです。
 裁判でのおもな争点は、HIV汚染血の混入した血液製剤によって HIVに感染する可能性が高いことを、実際に投与した医師や国(旧厚生省)がその時点で知っていたかどうかでした。しかし、その一方では、クリオ製剤の場合、患者さんに投与されるまでの手順が他の製剤にくらべていくぶん複雑なことが、当時の医師や医療スタッフたちにその使用をためらわせていた印象もないとはいえません。
 現在ではクリオ製剤と同等ないしは十分な治療効果が期待でき、さらに、より安全性の高い製剤も供給されており、血友病の患者さんに再び、悲惨な運命を強いる心配はなくなっています。
 


 
         
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